実は昨年、受験前にショッキングなことが起きました。暮れも押し迫った冬休みの直前、3年生のA君が塾を辞めていきました。確かに成績は上がっていませんでした。私は以前からとても心配していたのです。
ですがその最大の原因はなんだったのでしょう?
それは、単純に塾に通っていなかったのです。2学期、A君は明らかにやる気を失っていました。受験前の大事な実力テストの際もモチベーションが上がらず、たまに来た塾での勉強も身の入らないものでした。当然取り組みは結果に表れていきます。
私もことあるごとに面談や話し掛けをしてモチベーションを上げようと努力しましたがそれは叶いませんでした。私は自分の無力さを反省しました。
一方で多くの子どもたちが今年もドラマをつくり出し、私を元気づけてくれました。彼らと一緒にこの受験までともにがんばれた、そんな充実感があります。
そして、結果はどうだったでしょう?
A君はその後、環境が変わればやる気が出ると考えたのではないでしょうか。大手塾の冬季講習に通い始めましたが、受験用の教材のボリュームをこなし切れずに大事な受験前に完全に意欲を失くしたと思われます。結果志望校に合格することができなかったのです。
一方、毎日多くの時間を捧げ、塾に通い詰めた子どもたちはどうだったでしょうか。その中には道コン模試で1学期まで合格可能性が「2%」だった生徒が2人、その他にも厳しい状況だった生徒が数名いましたが、それぞれ志望校に合格することができたのです。 これら奇跡を起こす生徒たちには共通していることがあります。
それは、「勉強するしかない!という覚悟が決まっている」という点です。 その気持ちがあるためになによりも受験期に塾に「通いつめる」ことができるのです。これはつまり、「ブレずに塾についてきてくれた」ということでもあります。
成績が伸び悩む生徒に多いのは、つい「問題集が悪いのではないか」「学校や塾のせいでやる気が出ないのではないか」「親がうるさいからだ」と、何かのせいにします。成績が伸びない最大の原因は自分だということに気づかず、自分がやるしかないという覚悟がないのです。こうした姿勢は取り組みがブレてどれもハンパになり、間違いなく悪い結果をもたらします。
しかし、大きな飛躍を遂げた生徒たちに共通しているのは、自分の置かれた状況を決して言い訳をせず、やるしかないと理解しているため、「どうやったら自分を成長させられるか」と、自分の方向に向けた考え方ができるということです。
塾の仕事はこうした姿勢に子供達を導くことです。だから辞めていったA君のことを考えると責任を感じ、胸を痛めます。私は私で子供のせいにはせず自分の指導が足りなかったと考える必要があるのです。
逆に、矛盾しているかもしれませんが子どもたちには何があっても人のせいにはしない人になってほしいのです。中学生は親からすれば未熟に見えますが、もはや一人で歩き出しており、「勉強しなさい」と口うるさく言っても逆効果にしかなりません。自分の道を歩き始めているのです。
「合格したのは自分が努力したから」「不合格だったのは自分が努力しなかったから」この厳しさを突きつけることこそ「子どもに覚悟を決めさせる」大きな力になると考えています。
覚悟から来る「自立した姿勢」は、勉強方法を工夫したり、効率化する手段を考えたりと、学習の質を高めることにつながります。また、主体的に取り組むようになると、長時間の学習も苦になりにくくなるのです。これこそが、将来にわたってさまざまな可能性を広げる最も重要な力だと私たちは考えています。
成績を伸ばすのに、もちろん能力や知識は必要です。しかし、それ以上に大きいのは「覚悟」、その先の「自ら取り組む力」だとつくづく感じます。そして当塾にはいろいろな学力の生徒たちがいます。どの子にとっても、この力さえあればそれぞれに応じた最大限の成果をあげることができ、良い人生へと向かっていくのだと信じています。